ドクター吉木の『知るログ』

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3.添加糖にサヨナラして、ニキビレス、毛穴レスの美肌に

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●ニキビと毛穴と、食べ物の関係 

女性を悩ませるニキビ。世界人口の10人に1人がニキビに悩んでいるといわれるくらい、ニキビはありふれた皮膚病です¹⁾

ニキビと食べ物は、関係があるのか、悩んでいる人も多いでしょう。

 

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そもそも、ニキビの原因は、何でしょう。

基本的にニキビの原因の多くは、ホルモンや免疫など、体の中にあります。

ニキビ菌(アクネ菌)やニキビダニ(顔ダニ)などがニキビの原因であるとよく言われますが、これらは肌の常在菌、つまり、健康な人でも持っているもので、悪い菌ではないのです。

その菌が毛穴に住んでいても、通常、ニキビはできません。

 

皮脂分泌のバランスがくずれたり、何らかのホルモンの乱れなどで毛穴の出口がふさがれたりすると、菌やダニが異常に増えてしまい、ニキビの原因になります。

つまり、菌が増えやすい肌環境があるから菌は増えるのです。

 

菌そのものでなく、肌環境に目を向ける必要があります。

たとえば公園にゴミが散らかっていて、カラスが異常に増えたとしましょう。

カラスばかり追いかけていても、カラスはいなくなりません。わなをしかけて捕まえても、どこからともなく飛んでくるでしょう。

ゴミをきちんと片付けないと、カラスがいなくなることはありません。

 

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ニキビ菌もカラスのようなもので、どんなに殺菌しても、どこからでも無限に増えてしまいます。

体の中からバランスをとることで初めて肌表面のバランスが整い、ニキビ菌が増えすぎない環境ができてきます。

 

肌は体の一部ですから、肌環境と食べ物は、当然、「関係おおあり」です。

カラスが繁殖しないきれいな公園を作るように、健康な肌環境を作ることを目指しましょう。

ニキビの原因にはもちろん、食べ物以外にも、ストレスや寝不足など、生活全般が関係します。

ここでは、食べ物について解説します。

 

●ニキビの原因となる食べ物 

・チョコレート 

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ニキビとチョコレートの関係については、100年前からいろいろな研究がなされていますが、まだ、結論にいたっていません。関係があるという説と、ないという説があります。

ただ、最近になって、関係があるという有力な論文がいくつか出されました。

たとえば、ニキビ体質の男性25人が、99%カカオのチョコレートを一日25gずつ食べ続けたら、4週間であきらかにニキビが増えました²⁾25gというのは、小さめの板チョコ一枚の半分くらいの量です。

もちろん、食べ物の影響には、個人差があります。

チョコレートを食べてもあまり影響ないという人もいますが、ただ、食べ物の影響は、すぐに肌に出るわけではなく、また、その時の体調によっても、出るときと出ないときがあります。そのため、肌との関係は、本人はなかなか気づきにくいものです。

慎重に、また、数か月という長い目で、食べ物の影響が出ていないか、自分の肌を観察しましょう。

チョコレートのカカオポリフェノールは体によいといわれますが、他のカカオの成分が体内の炎症に関係しているという報告もあり、良い面ばかりではないようです³⁾

 

・スイーツ全般

女性にとっては耳の痛い話が続きますが・・美肌を手に入れるためには、目をそむけてはいけません。

Added sugar(添加糖)を頻繁にとっている人は、ニキビが30%出やすいという報告があります⁴⁾(添加糖は、食べ物に入れられた砂糖のことですが、詳しくは、一回目のブログをご覧ください)。

 

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また、小麦を含む食べ物も同様です。特に、精製された白い小麦粉を使ったもの。つまりパンやケーキ、クッキーなど全般です。

 

急にそんなこと言われても、甘いものは簡単にやめられない!という人のために、科学的にご説明します。

 

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添加糖や白い小麦粉は、すみやかに吸収されて体内でブドウ糖になります。するとインスリンが出て、それが男性ホルモンを活性化して、皮脂が増え、ニキビができます。インスリンはさらにIGF‐1インスリン様成長因子)という物質を増やして、これが毛穴をふさいでしまいます⁵⁾。

これらの怖いところは、ニキビができるだけでなく、毛穴が開く原因にもなるところです。

毛穴レスの美肌を目指すなら、スイーツは、多くても週に一度にとどめましょう。

甘いものがほしいときは、スイーツのかわりに、果物、栗、おいもなどの自然の甘味をとりましょう。

 

ωオメガ)6脂肪酸 

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大豆油やコーン油に含まれるω脂肪酸を摂りすぎると、体内に炎症を起こしてニキビの原因になることが知られています⁶⁾。

人間の体に必要な油としていくつかの必須脂肪酸があります。ω脂肪酸も必要なもののひとつですが、現代人の食生活ではこれが過剰になり、ニキビやアトピー性皮膚炎のほか、心筋梗塞などの原因にもなっているといわれます。

大豆油やコーン油は、安価で加工食品に多く使われています。外食、テイクアウト、レトルトなどのほか、パンやお菓子にも広く使われています。食品の表示で「植物油」とあるものは、このω6を多く含みます。

これを摂らないためには、外食や出来合いの物を極力食べないことです。自宅ではω6の少ないオリーブ油を使いましょう。

ω脂肪酸という魚に含まれる油は、ω6と反対に、血液をサラサラにして、炎症をおさえるため、アトピーなどのアレルギー疾患や肌荒れを防止します。

 

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●QA

Q ニキビの原因は乾燥?

A 乾燥が原因になることは、まれです。

大人ニキビの原因は乾燥であると、肌診断などで言われる人が多いようですが、皮膚科学的にみれば、乾燥が大きい要因であるとはいえません。肌のうるおい(水分)が少なくても多すぎてもニキビができることがあります。また、適度にうるおいがある肌でも、皮脂が過剰になるとニキビができます。これについては後日解説しますが、要するに、保湿は大切ですが、保湿すればニキビが治るというものではありません。適度なうるおいを保つようにスキンケアしながら、体の中から、食生活や生活リズム全般を見直すことが大切です。

 

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Q 甘いものは昔から食べていたけれど、今までニキビはできなかった。だから私のニキビは甘いものと関係ないのでは?

A 積み重なって肌に影響することも

甘いものも、その他の食生活の乱れも、何年も積み重なって肌に影響してくることがあります。昔からの習慣だから、ニキビと関係ないとはいえません。栄養素は少しずつ体内の免疫などに影響し、急にバランスを崩した時に肌に現れてくることがあります。

むしろ、食生活が悪くても、短期的には肌や体に影響は出ないものです。栄養はある程度、体内にためておけるからです。

逆にいうと、食生活を改めても、すぐに肌がよくなるとは限りません。今まで蓄積された影響が抜けるまでに、数年間かかることもあります。

 

まとめ

ニキビや毛穴で悩まないために、食生活はとても大事です。

添加糖を含むスイーツは男性ホルモンを増やして毛穴の開きとニキビの原因に。

チョコレートやω脂肪酸は体内の炎症を起こしてニキビやアトピーなどにつながることも。

これらを避け、魚やオリーブ油の質の良い油と、抗酸化物質を含む緑黄色野菜をとることが、美しい素肌を生み出します。

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¹⁾Br J Dermatol. 2015 Jul;172 Suppl 1:3-12. doi: 10.1111/bjd.13462.

²⁾Int J Dermatol. 2016 May;55(5):587-91. doi: 10.1111/ijd.13188. Epub 2015 Dec 29.

³⁾Cytokine. 2013 Apr;62(1):40-3. doi: 10.1016/j.cyto.2013.02.003. Epub 2013 Mar 1.

⁴⁾J Eur Acad Dermatol Venereol. 2012 Dec;26(12):1503-9. doi: 10.1111/j.1468-3083.2011.04329.x. Epub 2011 Nov 10

⁵⁾Mol Nutr Food Res. 2008 Jun;52(6):718-26. doi: 10.1002/mnfr.200700307

⁶⁾Semin Cutan Med Surg. 2005 Jun;24(2):84-91.