ドクター吉木の『知るログ』

雑誌やネットからは得られにくい、美と健康に関する正しい情報をお届けします。 あふれる情報に流されず、本当の美しさを目指してください。

美脚をくずす、過回内(かかいない)。小指の爪が白い人は要注意!

●ゆったりめの靴が過回内を起こし、美脚ラインをくずす元に。

f:id:NobukoYoshiki:20191227161434p:plain

靴に関して、以下のような認識を持っている人が多いようです。

★細いものより幅が広いものの方が足によい。

★究極をいえば、スニーカーが一番足によい。

このような考え方で靴を選んでいると、知らないうちに足をいため、かえって痛みを起こすばかりか、美脚から遠のいてしまうのです。

美しく健康な足のため、靴を見直してみましょう。

 

過回内(かかいない)という言葉を聞いたことがありますか?

かかとの骨が内側に傾き、足の裏のアーチがつぶれていることを指します。

小指の爪が厚く白くなっている人は、過回内の可能性が高いです。

f:id:NobukoYoshiki:20191227161501p:plain

 

過回内を放っておくと、脚の筋肉が張り、むくみを生じ、脚のラインがくずれていきます。

さらには外反母趾、腰痛、頭痛、ひざの痛みなどにもつながります。

 

様々なことが過回内の原因になりますが、足に合わない靴もその一つです。

足によいと思われているゆったりめの靴が、意外と足に負担をかけ、変形につながるのです。

 

まずは自分の足が過回内かどうかを見分けましょう。

下の図は、立ったときの右足を後ろから見たところです。

 

f:id:NobukoYoshiki:20191227161547g:plain

真ん中(Neutral)が正常で、左側の図(Pronated)が回内足、右側の図(Spinated)は回外足です。

足が過剰に回内してしまうことを過回内といいます。

 

●過回内の見分け方

・立ったときに内くるぶしが内側に倒れ込んでいる(後ろに縫い目のある靴をはいて立ったとき、縫い目が垂直でなく内側に傾く)

・偏平足※。

・足の小指の爪が白く濁っている。

・足の裏の、人差し指もしくは中指の付け根の部分にタコがある。

・靴のはき口が広がっている。

・巻き爪、ウオノメがある。

外反母趾、内反小趾、浮き指などの足の指の変形がある。

・長時間歩くとふくらはぎやすねの部分が張る。押すと奥が痛い。

(※偏平足は、座った状態では現れなくても、立ったときだけ扁平になる「隠れ偏平足」の人もいます)

 

これらがみられる人は、過回内を起こしている可能性が高いといえます。

過回内は、片足だけに強く現れることもあります。

 

●幅の広い靴が足を変形させる

きつい靴は痛いので、ゆったりめを選ぶという人が増えています。

そこが思わぬ落とし穴になります。

f:id:NobukoYoshiki:20191227162903p:plain

ゆるい靴の悪影響を理解するために、極端なお話をしましょう。

サンタさんがはいている巨大な長靴を拝借して外出し、30分くらい歩くことを想像してください。

歩くたびに靴の中で足はぐらぐらし、不安定で落ち着きません。ふくらはぎの筋肉が硬直し、足を安定させようとします。足を持ち上げるときは脱げそうになるので指が上に反ります。後ろに蹴る時はさらに脱げそうになるので、ほとんど蹴ることはできません。足を前にだけ出してズタズタと歩くしかありません。

30分も歩くと足はヘトヘトです。

 

ゆったりめの靴をはいたとき、ここまで大げさではないにせよ、靴の中ではこれに似たことが起きています。

これを続けると、かかとが不安定になり、内側に倒れ込んでいきます。

f:id:NobukoYoshiki:20191227162924p:plain

かかとから足首にかけての部分の骨は、積み木を3段積み上げたような構造をしています。

一番下のかかとの骨は、もともと内側に傾きやすい構造をしており、そこが傾くと、当然その上の骨もバランスを失います。膝や腰の痛みを起こすことは容易に想像できます。

また、ゆるい靴の中では、スリッパをはいたときと同様で足指は常に上に反るので浮き指になります。指が浮くと、下からの力がかからず、爪は巻き爪になります※※。

 

傾いたかかとを支えるためにふくらはぎは過度に緊張し、常にパンパンに張った状態に。これでは着圧ストッキングをはいても追いつきません。

ゆるい靴は後ろに蹴り出しができないので、ヒップも下がり気味に。

また、脚が不自然に張ることが腰や背中全体に緊張を与え、腰痛や肩こり、頭痛にもつながります。

慢性的な腰痛や頭痛に悩む人は、もしかして靴が合っていないかもしれません。

f:id:NobukoYoshiki:20191227162945p:plain

 

●指先の部分で靴を判断してはいけない

足の変形や痛みをを防ぐためには、靴の中でまずかかと部分を安定させることです。

かかとの幅が大きすぎるものはNGです。

以下の点に注目してみましょう。

★履いたときにかかと部分に指が入ったり、歩いた時にかかとが左右にぐらぐらするものはNG

★「あ~した天気にな~れ!」と言って、ぽんと放り出せるような靴はNG

★靴をはいたままその場でつま先立ちをしてみましょう。スポンとかかとが抜けるものはNG。正しくフィットしていれば、かかとがついてくるはずです。

手持ちの靴で、右と左に違うものをはいて、つま先立ちをしたりしてみましょう。どちらがゆるいか、感じられるはずです。

★革靴であれば、はくときに、靴べらが必要になるのが普通です。靴べらがなくてもスムーズにはけるような靴はゆるいといえます。

f:id:NobukoYoshiki:20191227163024p:plain

「きつい靴は痛い」と誰しもいいますが、指の部分がきついと痛くなるのです。

むしろかかとから足の甲の部分まではきちんとフィットさせたほうが、痛みはなくなります。この部分がゆるいと、歩くたびに靴の中で足がずるずると前後に動き、指が前に衝突して痛みが出ます。

かかとの骨が小さい人は、フィットする靴がなかなか見つからないこともあります。

そのような場合は、インソールで調整しましょう。靴の後ろ半分の部分を覆うインソールを入れると、かかとが安定することもあります。

 

靴が合っているかどうかを、はいたときに足指が楽かどうかで判断してはいけません。

もちろん指が窮屈ではいけないのですが、指が楽でも足の甲とかかとがフィットしていないものはNGです。

指が楽であることを重視しすぎて、ゆるい靴を選んでしまう人が多いのです。

f:id:NobukoYoshiki:20191227163046p:plain

 

●「スニーカーならば安心」とはいえない

スニーカーであっても、ゆるいものは同じような悪影響があります。

特に、ひもを結びっぱなしではき脱ぎするのはNGです。毎回ひもをきちんとしばって、走ったら良いタイムが出るくらいのフィット感を感じることが必要です。

f:id:NobukoYoshiki:20191227163117g:plain

試しに自分の足を、手で握ってみましょう。

指を強く握ると痛いですが、足の甲の部分を握っても痛くありません。

また、握ったときの足指を観察してください。外反母趾ぎみで親指が外を向いている人は、甲を握ると親指がまっすぐになるのがわかるはずです。靴の中で甲の部分をフィットさせたほうが、外反母趾を防ぐことができます。

 

靴の前部分の当たり具合に重点をおいて靴を選ぶ人が多いですが、靴の土台は、中ごろから後ろ部分です。

常にそこがフィットする感触をしっかり感じながら、歩くようにしましょう。

 

●美脚は、土台から

体が建物だとすると、かかとは基礎の部分です。ここが傾いてしまうと、美しい脚のラインや、よい姿勢を保つことは、当然難しくなります。

f:id:NobukoYoshiki:20191227163154p:plain

美しい脚のラインは、女性のあこがれです。

きついストッキングなどで締め付けたりしている人が多いですが、それで一時的にすっきりしても、本当の意味で脚のラインを変えていくことはできません。あまり長時間締め付けると、筋肉の動きをさまたげ、かえってむくみやすい脚を作ってしまうこともあります。

f:id:NobukoYoshiki:20191227163216p:plain

正しく歩くことで、ふくらはぎの筋肉を使い、リンパや血液が流れ、むくまない美しい脚が作られていきます。

 

美脚の人は、足の裏も、きちんとしたアーチを持っているものです。足跡をつけると、きちんと土踏まずのある、理想的な足跡がつくはずです。

f:id:NobukoYoshiki:20191227163236p:plain

美脚の土台は、かかとの骨です。

普段、気に留めないかかとですが、今一度、傾いていないか、きちんとチェックしてみてください。

 

※※丸いプラスチックの、トンネル状の筒があるとします。それを縦半分に割り、下敷きの上に置きます。手で下敷きを押し上げると筒は開き、手を放すとくるっと巻いてドーム状に戻ります。歩行と爪の関係はこれと同じです。爪は下から適度に力を受けることで適度なカーブを維持しており、下からの力を受けなくなると、くるくると巻いていってしまいます。浮き指が巻き爪の原因になるのはこのためです。