ドクター吉木の『知るログ』

雑誌やネットからは得られにくい、美と健康に関する正しい情報をお届けします。 あふれる情報に流されず、本当の美しさを目指してください。

2.世界中で注目される砂糖問題を知ろう

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砂糖税が広まっている

砂糖税sugar taxという税金があるのをご存じでしょうか。

砂糖の弊害から国民の健康を守る目的で、アメリカ、イギリスをはじめ世界22カ国で導入されています(201910月現在)。

砂糖を多く含む飲み物(主に炭酸飲料などの清涼飲料水)に税金をかけることで、値段を上げ、消費を減らそうとするものです。タバコに税金をかけることで値段を高くし、喫煙者を減らそうとするのと同じ考え方です。

 

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日本は肥満大国でも糖尿病大国でもないので、今のところ砂糖税の導入予定はありません。それでも、砂糖を意識することは必要でしょう。

  

砂糖の害で、多くの人が亡くなっている 

地球上では、信じられないほどのペースで肥満が増えています(1975年の約3倍)。

WHO世界保健機構の発表によると、2016年の時点で世界の18歳以上の人口の39%が過体重(BMI25以上。身長160センチの場合、体重64㎏以上)といわれ、世界のほとんどの国で、飢餓よりも肥満による病気で亡くなる人の方が多くなっています¹⁾

肥満はもちろん心筋梗塞などの原因として知られますが、それ以外にも、いくつかのがん(子宮体がん、乳がん卵巣がん、大腸がん、前立腺がん、肝臓がん、膀胱がん、腎がん)のリスクにもなります¹⁾

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世界的に肥満と糖尿病が増えている原因は、脂肪と砂糖の摂りすぎ、プラス運動不足だとみられています¹⁾

 

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中でもadded sugar(添加糖=お菓子やジュースなどに加えられている砂糖)は、有害無益であり、特に問題視されています。そのため砂糖税などでブレーキをかけようとする国が出てきているのです。

フルーツや野菜の自然の甘さでなく、スイーツやジュースなどに入っている砂糖や人工甘味料が添加糖と呼ばれ、近年、その摂りすぎの害に関する報告が急増しています²⁾

 

added sugar(添加糖)を一日48g以下に 

WHO世界保健機関は、added sugar(添加糖)の摂取量を、一日の摂取カロリーの5~10%に抑えるべきだとしています。一日2000kcal摂取する成人女性であれば、一日に摂ってよい添加糖は、24g~48という計算になります。

アメリカ心臓協会American Heart Association AHA)では、厳しい数値の24g以下を目標値としています³⁾

現在あなたが肥満でなく家系的に糖尿病もなければ、48g以下を目標にすればよいでしょう。

 

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しかし48gは、容易な数字ではありません。

 

コンビニなどで売られている炭酸飲料やパックのカフェオレなどは一本あたり40gほどの添加糖を含みます。

ケチャップは大さじ1あたり4g、加糖のヨーグルトは100g(約1パック)あたり10gほどの添加糖を含みます。

 

甘いものをどうしても食べたい場合は、added sugar(添加糖)を避けて、なるべく、フルーツや、お芋、カボチャ、豆類などの自然の甘味をとりましょう¹⁾。特にサツマイモは栄養価が高く、糖尿病を改善する可能性があるとも言われています⁴⁾。

ただしそれらも、いくらでも食べてよいわけではありません。ほどほどを心がけましょう。

 

あなたがスリムで健康だったとしても、添加糖は、将来の健康を害する可能性があります。

添加糖は、ほぼすべての人にとって有害無益です⁵⁾。

摂らないにこしたことはありません。

スイーツ(お菓子や、砂糖の入った飲み物)をどうしても摂りたい場合は、週一回程度にとどめましょう。

 

特に子供の砂糖の摂りすぎに要注意。

今太っていなくても、将来の肥満や糖尿病、心疾患のリスクになります。

 

 

¹⁾https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/obesity-and-overweight

²⁾https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23322142

³⁾https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/sugar/added-sugars

⁴⁾https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22336861

⁵⁾http://www.actiononsugar.org/sugar-and-health/

 

1.よい糖と悪い糖を知ろう

 

よい糖と悪い糖を知ろう

 

 

世界で問題視されているadded sugar(添加糖)

体重を気にする女性の多くが、「お肉はあまり食べない。野菜を摂るようにしています」とおっしゃいます。

肉を食べると肉がつく、と考える人が多いようです。しかし、肉(脂肪)に変わるのは、お肉よりも圧倒的に甘いもの、つまり糖です。

 

糖といっても、種類があります。

肌やダイエットにとって、とても悪い糖とそうでない糖があります。

 

Added sugar(=添加糖。加えられた糖)という言葉が、最近、海外で注目されています。

カボチャやフルーツのような自然の甘みでなく、食品の製造過程で入れた糖という意味です。これが悪い糖になります。

Added sugarが、肥満、糖尿病、肌荒れ、老化、認知症の原因にもなるといわれ、世界中で問題視されています¹⁾。(肌荒れや老化との関係は、後日お話します)

 

 

糖は当然、甘い食べ物のほとんどに入っています。

キャンディ、ケーキなどのスイーツ全般、ジュースなど、女子が好む甘いもののほぼすべてにadded sugar(添加糖)が入っています。甘いもの以外にも、普通の食パンや、市販のケチャップ、ドレッシング、パスタソースなどにも含まれます。

家庭で料理をするときに砂糖やみりん、蜂蜜などを入れればそれもadded sugar(添加糖)になります。

 

市販の炭酸飲料やジュース類、タピオカドリンクなどの多くには、一本あたり40g(スリムスティックシュガー13本分)もの添加糖が含まれます。

 

カロリーをおさえてもやせない理由とは

 

「甘いものだけでなく、脂っこいものとか、お肉とか、そういうもの全部のカロリーで太るわけだから、特に甘いものがいけないというわけでもないのでは?」「甘いものを食べても、一日のカロリーが多くなければ、太りもしないし、特に悪くないのでは?」と、思う人が多いでしょう。

でも実際、甘いものの影響は、とてもとても大きいのです。

 

太る、つまり脂肪がつく。

脂肪は何から作られるのかといえば、それはずばり糖です。

私たちの体は、糖を多く摂りすぎると(血糖値が上がると)それを脂肪に変えてたくわえる仕組みがあります。インスリンというホルモンが、余分な糖を脂肪に変えてしまうのです。

つまりカロリーが多すぎなくても、甘いものを多く摂れば、脂肪は作られます。

 

もちろん甘いものだけでなく、脂っこいものや、肉・魚などのタンパク質も、摂りすぎれば脂肪に変わります。しかし、一番ダイレクトに脂肪に変わりやすいものは、糖です。

 

中でも、added sugar(添加糖)に要注意。

普通の砂糖のほか、加工食品の、異性化糖スクラロースブドウ糖果糖液糖、ショ糖、麦芽糖などと表示されているものすべてがそれに当たります。

 

 

白いご飯と玄米の違いはとても大きい

ご飯やパンなどの炭水化物も、食べて消化されると糖に変わります。

しかしご飯やパンは、砂糖の入ったスイーツほどは太りません。

炭水化物は、食べてから消化され、分解されて糖に変わります。それに時間がかかるので、砂糖ほどは急激に血糖値を上げません。

また、ご飯は玄米や雑穀米、パンは全粒粉のパンなどの食物繊維の多いものを選べば、さらに吸収に時間がかかるため、太りにくくなります。

白いご飯より玄米や雑穀米のほうが太らないことは、なんとなく知っている人が多いと思いますが、科学的にみるとその違いはとても大きいのです。

 

 

吸収されやすい糖、つまり精製した砂糖や人工的な糖を加えた食品で、食物繊維やほかの栄養を含まないものほど、最も短時間に血糖値を上げ、脂肪を作り出してしまいます²⁾

さらに甘いものは、中毒性があるといわれます。

つまり、甘いものを食べていると、体内のホルモン動態が変わり、より、甘いものを欲する体になってしまいます。

これが肥満のスパイラル、つまりメタボリックシンドロームです。

これらについては後日お話します。

 

「お肉を食べると肉がつく」という思い込みを捨てよう

 

お肉を食べると太ると思う人が多いですが、お肉と呼んでいるものは牛や豚や鶏などの「筋肉」です。脂が多い霜降り肉は避けるべきですが、そうでない肉は、腹もちがよく太りにくい食べ物なので、美容と健康のために積極的に摂りましょう。炭水化物とタンパク質と脂質の三大栄養素で比べると、タンパク質が最も腹もちがよいといわれます³⁾

 

ただし、最近、牛や豚よりも鶏肉や魚のほうが健康によいことがわかってきています。これは肥満の話ではなく、大腸癌や心疾患との関連があるためですが、健康のためにはできるだけ、牛や豚よりも、鶏肉か魚を摂りましょう⁴⁾。

 

添加糖を避け、炭水化物は普通に摂ろう

ここでは主に、糖と肥満についてお話しましたが、やせたいと思っている人だけでなく、悪い糖(添加糖)は、誰しもなるべく避けるべきです。

Added sugar(添加糖)は老化、肌荒れ、認知症などの原因にもなるからです(これについても後日お話します)。

 

糖質ゼロにすべきということではありません。

糖質ゼロは炭水化物もすべてゼロにするというダイエット法です。そのような極端な制限は、やせることはできたとしても、続けていくと健康を害することがあります。一日の総カロリーのうちの約半分は炭水化物から摂るのが健康によいとされます⁵⁾

 

まとめ

○砂糖、特に自然の甘さでなく、加えられた砂糖は、肥満や糖尿病の原因になりやすいので極力控える(理想は成人女性で一日24g、男性で36g以下⁶⁾)。特にジュース類などの食物繊維を含まないものに要注意。

○どうしても甘いものを食べたいときは、自然の甘さをとる(おイモやカボチャ、フルーツなど自然のもの)

○炭水化物も、極力、精製されていないものを摂る。米は玄米や雑穀米、パンは全粒粉のパンを。

○脂肪の少ないタンパク源、中でも鶏肉や魚は、腹もちがよく肥満の原因になりにくいのでダイエット中でも積極的にとるべき。

 

※添加糖と転化糖は同じ「てんかとう」でも別の物です。転化糖は砂糖を加水分解して作られた甘味料です。これももちろん市販のお菓子やジュースに含まれ、added sugar添加糖の一種になります。

 

¹⁾NZ Med J.2014Apr11;127(1392):6-11

²⁾Nutrients. 2011 Mar; 3(3): 341–369

³⁾https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17824197

⁴⁾https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/nutrition-basics/aha-diet-and-lifestyle-recommendations

⁵⁾https://www.hsph.harvard.edu/news/hsph-in-the-news/eat-moderate-amount-of-carbs-for-health/

⁶⁾https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/sugar/added-sugars