ドクター吉木の『知るログ』

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1.よい糖と悪い糖を知ろう

 

よい糖と悪い糖を知ろう

 

 

世界で問題視されているadded sugar(添加糖)

体重を気にする女性の多くが、「お肉はあまり食べない。野菜を摂るようにしています」とおっしゃいます。

肉を食べると肉がつく、と考える人が多いようです。しかし、肉(脂肪)に変わるのは、お肉よりも圧倒的に甘いもの、つまり糖です。

 

糖といっても、種類があります。

肌やダイエットにとって、とても悪い糖とそうでない糖があります。

 

Added sugar(=添加糖。加えられた糖)という言葉が、最近、海外で注目されています。

カボチャやフルーツのような自然の甘みでなく、食品の製造過程で入れた糖という意味です。これが悪い糖になります。

Added sugarが、肥満、糖尿病、肌荒れ、老化、認知症の原因にもなるといわれ、世界中で問題視されています¹⁾。(肌荒れや老化との関係は、後日お話します)

 

 

糖は当然、甘い食べ物のほとんどに入っています。

キャンディ、ケーキなどのスイーツ全般、ジュースなど、女子が好む甘いもののほぼすべてにadded sugar(添加糖)が入っています。甘いもの以外にも、普通の食パンや、市販のケチャップ、ドレッシング、パスタソースなどにも含まれます。

家庭で料理をするときに砂糖やみりん、蜂蜜などを入れればそれもadded sugar(添加糖)になります。

 

市販の炭酸飲料やジュース類、タピオカドリンクなどの多くには、一本あたり40g(スリムスティックシュガー13本分)もの添加糖が含まれます。

 

カロリーをおさえてもやせない理由とは

 

「甘いものだけでなく、脂っこいものとか、お肉とか、そういうもの全部のカロリーで太るわけだから、特に甘いものがいけないというわけでもないのでは?」「甘いものを食べても、一日のカロリーが多くなければ、太りもしないし、特に悪くないのでは?」と、思う人が多いでしょう。

でも実際、甘いものの影響は、とてもとても大きいのです。

 

太る、つまり脂肪がつく。

脂肪は何から作られるのかといえば、それはずばり糖です。

私たちの体は、糖を多く摂りすぎると(血糖値が上がると)それを脂肪に変えてたくわえる仕組みがあります。インスリンというホルモンが、余分な糖を脂肪に変えてしまうのです。

つまりカロリーが多すぎなくても、甘いものを多く摂れば、脂肪は作られます。

 

もちろん甘いものだけでなく、脂っこいものや、肉・魚などのタンパク質も、摂りすぎれば脂肪に変わります。しかし、一番ダイレクトに脂肪に変わりやすいものは、糖です。

 

中でも、added sugar(添加糖)に要注意。

普通の砂糖のほか、加工食品の、異性化糖スクラロースブドウ糖果糖液糖、ショ糖、麦芽糖などと表示されているものすべてがそれに当たります。

 

 

白いご飯と玄米の違いはとても大きい

ご飯やパンなどの炭水化物も、食べて消化されると糖に変わります。

しかしご飯やパンは、砂糖の入ったスイーツほどは太りません。

炭水化物は、食べてから消化され、分解されて糖に変わります。それに時間がかかるので、砂糖ほどは急激に血糖値を上げません。

また、ご飯は玄米や雑穀米、パンは全粒粉のパンなどの食物繊維の多いものを選べば、さらに吸収に時間がかかるため、太りにくくなります。

白いご飯より玄米や雑穀米のほうが太らないことは、なんとなく知っている人が多いと思いますが、科学的にみるとその違いはとても大きいのです。

 

 

吸収されやすい糖、つまり精製した砂糖や人工的な糖を加えた食品で、食物繊維やほかの栄養を含まないものほど、最も短時間に血糖値を上げ、脂肪を作り出してしまいます²⁾

さらに甘いものは、中毒性があるといわれます。

つまり、甘いものを食べていると、体内のホルモン動態が変わり、より、甘いものを欲する体になってしまいます。

これが肥満のスパイラル、つまりメタボリックシンドロームです。

これらについては後日お話します。

 

「お肉を食べると肉がつく」という思い込みを捨てよう

 

お肉を食べると太ると思う人が多いですが、お肉と呼んでいるものは牛や豚や鶏などの「筋肉」です。脂が多い霜降り肉は避けるべきですが、そうでない肉は、腹もちがよく太りにくい食べ物なので、美容と健康のために積極的に摂りましょう。炭水化物とタンパク質と脂質の三大栄養素で比べると、タンパク質が最も腹もちがよいといわれます³⁾

 

ただし、最近、牛や豚よりも鶏肉や魚のほうが健康によいことがわかってきています。これは肥満の話ではなく、大腸癌や心疾患との関連があるためですが、健康のためにはできるだけ、牛や豚よりも、鶏肉か魚を摂りましょう⁴⁾。

 

添加糖を避け、炭水化物は普通に摂ろう

ここでは主に、糖と肥満についてお話しましたが、やせたいと思っている人だけでなく、悪い糖(添加糖)は、誰しもなるべく避けるべきです。

Added sugar(添加糖)は老化、肌荒れ、認知症などの原因にもなるからです(これについても後日お話します)。

 

糖質ゼロにすべきということではありません。

糖質ゼロは炭水化物もすべてゼロにするというダイエット法です。そのような極端な制限は、やせることはできたとしても、続けていくと健康を害することがあります。一日の総カロリーのうちの約半分は炭水化物から摂るのが健康によいとされます⁵⁾

 

まとめ

○砂糖、特に自然の甘さでなく、加えられた砂糖は、肥満や糖尿病の原因になりやすいので極力控える(理想は成人女性で一日24g、男性で36g以下⁶⁾)。特にジュース類などの食物繊維を含まないものに要注意。

○どうしても甘いものを食べたいときは、自然の甘さをとる(おイモやカボチャ、フルーツなど自然のもの)

○炭水化物も、極力、精製されていないものを摂る。米は玄米や雑穀米、パンは全粒粉のパンを。

○脂肪の少ないタンパク源、中でも鶏肉や魚は、腹もちがよく肥満の原因になりにくいのでダイエット中でも積極的にとるべき。

 

※添加糖と転化糖は同じ「てんかとう」でも別の物です。転化糖は砂糖を加水分解して作られた甘味料です。これももちろん市販のお菓子やジュースに含まれ、added sugar添加糖の一種になります。

 

¹⁾NZ Med J.2014Apr11;127(1392):6-11

²⁾Nutrients. 2011 Mar; 3(3): 341–369

³⁾https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17824197

⁴⁾https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/nutrition-basics/aha-diet-and-lifestyle-recommendations

⁵⁾https://www.hsph.harvard.edu/news/hsph-in-the-news/eat-moderate-amount-of-carbs-for-health/

⁶⁾https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/sugar/added-sugars